基礎知識・初心者向け
VPNとはそもそも何ですか?
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット空間に仮想の専用回線を構築し、セキュアな通信を実現するテクノロジーです。
その主要な機能として、①データ通信を暗号化して第三者からの盗聴を阻止する「セキュリティ強化」、②IPアドレス(インターネット上の識別番号)を偽装して「個人情報の保護」や「地理的制限の突破」を可能にします。
主な効果としては、通信の内容が暗号化されるので、外部からの盗み見や攻撃から守られるというセキュリティ強化と、接続するVPNサーバーの位置情報が使用されることで、自分の本来のIPアドレスが隠されるプライバシー保護の二つが挙げられます。
詳細については、VPNの利用場面のページもあわせてご確認ください。
VPNが活躍する場面
VPN技術の必要性は、使用する環境やシーンによって大きく異なります。どのような場面でVPNが役立つのか、具体的に見ていきましょう。
セキュリティリスクが高い環境での利用
カフェや空港、駅などの公開されたWi-Fi環境では、通信が十分に保護されていないため、悪意のある第三者が容易に通信内容にアクセスできる状態になっています。VPNを経由することで、そうした環境でも安全に通信を行うことが可能になります。
地理的な制限を越えた視聴
配信サービスの多くは、配信地域を制限しています。例えば、日本にいながら海外版のNetflixを視聴したい、または海外出張中に日本のテレビ番組を見たいといった場合、VPNを通じて特定の国のサーバーに接続することで、その地域からのアクセスに見せかけることができます。
お得な価格での購入
サブスクリプションサービスの料金は、国によって大きく異なる場合があります。物価が低い国のサーバーに接続することで、より安い価格で同じサービスに契約できることがあります。
無料VPNサービスは危険?
費用がかからない無料VPNは一見魅力的に見えますが、セキュリティとプライバシーの観点から、利用は推奨できません。
無料VPNのデメリット
- 利用者の通信ログが保存され、第三者に販売されるリスク
- 個人情報が流出する危険性
- 通信速度が著しく低下する傾向
- 画面に広告が頻繁に表示される
- 一部の動画配信サービスに対応していない
- セキュリティプロトコルが古い場合がある
安定性と安全性を確保するためには、実績のある有料VPNサービスの利用が重要です。
接続時間についての判断基準は?
VPNを常に起動しておくべきかどうかは、利用環境や目的によって変わります。
自宅の安全なWi-Fi環境であれば、通信速度を優先するという観点からVPNを一時的にオフにすることは問題ありません。
一方、カフェなどの公共Wi-Fi利用時や、個人情報を扱う重要な作業を行う際には、常時接続を強く推奨します。
VPNを無効化した場合、IPアドレスが外部に露出し、通信内容の暗号化も失われることに留意してください。
通信速度への影響とその対策は?
VPNを使うことで、通信が追加のサーバーを経由するため、理論上は速度低下が生じます。
ただし、高品質なVPNサービスを選べば、その影響を感じないレベルに抑えることが可能です。
速度が低下する理由
通信データの暗号化・復号化処理には、わずかな計算時間が必要になります。
また、VPNサーバーまでの物理的な距離が遠いほど、データ転送に時間がかかります。
特に海外の遠隔地にあるサーバーに接続する場合、特にこの影響が顕著です。
さらに、一つのVPNサーバーに多くのユーザーが同時接続している状態では、回線が混雑し、速度が低下することもあります。
速度低下を最小限にするコツ
- 高性能な有料VPNの選択:ExpressVPNやNordVPNなどの業界大手プロバイダーは、速度低下を抑制するための高速サーバーや最新技術(例:WireGuardプロトコル)への大規模投資を行っています。
- 地理的に近接するサーバーの選択:日本のサービス利用が目的であれば日本のサーバーを、といったように、目的に合わせて可能な限り物理的に近いサーバーを選択すると接続が安定します。
- サーバーの変更:もし接続速度に不満を感じた場合、同一国内の異なる都市のサーバーに再接続するだけで改善するケースが頻繁にあります。
一般的なWebサイトの閲覧やHD画質での動画鑑賞程度であれば、優秀なVPNサービスを利用している限り、速度低下を不便と感じることはほぼないでしょう。
VPN選択において通信速度を重視される方は「VPNの選び方・使い方」のページもぜひ参考にしてください。
VPNの選び方
VPNを選ぶ上で最も重要なポイントは何ですか?
使用目的によって重要度は変化しますが、主に以下の5つの要素を総合的に検討することが重要です。
より詳細な比較については「VPNの選び方・使い方」のページで詳しく解説しています。
目的・サービス別の使い方
VPNを使うと海外からTVerやABEMA、U-NEXTなど日本の動画サービスを視聴できますか?
はい、視聴が可能です。多数の日本の動画配信プラットフォームは海外IPアドレスからのアクセスを遮断していますが、VPNを活用して日本のサーバーに接続することで、IPアドレスが日本国内のものに変更されます。
これにより、海外在住中でも日本国内とほぼ同等の条件でTVer、ABEMA、U-NEXTなどのサービスを楽しむことができます。
VPNを使うとNetflixでジブリ作品や海外限定のコンテンツを見ることはできますか?
はい、可能です。Netflixは国家ごとに配信コンテンツが差別化されています。
例として、ジブリ作品はイギリスなどのVPNサーバーに接続することで鑑賞できます。
同じように、日本からアメリカ版Netflixにアクセスすれば、日本では配信されていない映画やテレビシリーズを視聴することができます。
VPNを使うと海外からマッチングアプリを利用できますか?
多数のサービスで利用が可能です。一部のマッチングアプリなどは、不正使用防止の目的で海外IPアドレスからのアクセスを制限している場合があります。
VPNで日本のサーバーに接続し、IPアドレスを日本に変更することで、これらのサービスへのログインや利用が可能になることが多くあります。
VPNを使ってメルカリにアクセスできますか?
はい、VPNを利用することで、海外からでもメルカリへのアクセスが可能です。
ただし、メルカリ側の制限やVPNプロバイダーの対応状況により、接続が困難な場合もあります。
複数のVPNサービスを併用することをお勧めします。
VPNを使って日本のテレビ番組を海外で視聴できますか?
はい、VPNを利用することで、海外からでもTVerなどの日本の動画配信サービスを視聴可能です。
日本のVPNサーバーに接続することで、日本国内限定のコンテンツにアクセスできます。
韓国のテレビ番組や音楽番組(KBS、MBC、M COUNTDOWNなど)を日本でリアルタイム視聴できますか?
はい、可能です。
VPNで韓国のサーバーに接続することで、KBSやMBC、SBSといった放送局の公式サイトや、TVING、Wavveなどの動画プラットフォームにアクセスし、リアルタイムで番組を視聴できます。
トラブル・困ったとき
VPNに接続してもTVerやNetflixが見れません。なぜですか?
複数の原因が考えられます。
- VPNサーバーの検出・遮断:動画配信サービス側が、該当VPNサーバーのIPアドレスを識別し、アクセスを遮断している可能性があります。
- ブラウザの位置情報残存:ブラウザのキャッシュやCookieに過去のアクセス履歴が残っていると、VPNを接続しても海外からのアクセスと判定されることがあります。
対処方法
- 別のVPNサーバー(同一国内の異なる都市など)に再接続する。
- ブラウザのキャッシュとCookieをクリアする。
- 異なるブラウザや、ブラウザのシークレットモード(プライベートモード)で試行する。
中国でVPNが繋がりにくいのですが、どうすればいいですか?
中国では「グレート・ファイアウォール」と称される強力なインターネット検閲システムにより、多数の標準的なVPNがブロックされています。
そのため、中国で利用するには、検閲を回避する特殊技術(ステルス機能など)を搭載したVPNサービスが必要。
12vpnやUCSSのように、中国での利用に特化したサービスを選択することをお勧めします。
詳しくは「中国から日本のサイトを見る方法」でも解説しています。
安全性・法律について
VPNの利用は違法ですか?
日本国内でのVPNの利用は完全に合法です。多数の国でも同様に合法ですが、中国、ロシア、イランなど一部の国では政府が認可したVPN以外の利用が制限または禁止されている場合があります。
渡航先や滞在先の法規制を確認することをお勧めします。
ただし、VPNを利用して違法行為を行うことは、どの国にいても違法となります。
公共のフリーWi-Fiは危険だと聞きますが、VPNがあれば安全ですか?
はい、安全性が大幅に向上します。フリーWi-Fiは通信が暗号化されていないことが多く、悪意のある第三者に通信内容を盗み見されたり、個人情報を抜き取られたりする危険があります。
VPNを利用すると、通信全体が強力に暗号化されるため、たとえ同じWi-Fiに接続している人がいても、あなたの通信内容を解読することはほぼ不可能になります。
詳しくは「公共のフリーWi-Fiを安全に使う方法」で解説しています。